M&A・事業提携の独禁法リスク対応

M&A・事業提携と独占禁止法の関係

M&A(合併・買収)や事業提携は、企業の成長戦略として非常に有効な手段です。しかし、これらの取引は独占禁止法の規制対象となり、公正な競争を阻害する可能性があるとして、公正取引委員会(以下、公取委)による審査が必要となる場合があります。

独占禁止法は、市場における公正で自由な競争を確保することにより、消費者の利益を保護することを目的としています。M&Aや事業提携によって市場の競争環境が大きく変化する場合、公取委の審査をクリアしなければなりません。適切な独禁法リスク対応がなされない場合には、M&Aの中止、事業提携の見直し、さらには課徴金の賦課や刑事罰の対象となる可能性もあります。

なぜM&A・事業提携時の独禁法リスク対応が重要か?

M&Aや事業提携を進める上で、独禁法リスク対応は以下の理由から極めて重要です。

取引の中止・遅延リスク
公取委の承認が得られない場合、M&Aや事業提携が中止に追い込まれたり、承認に時間がかかり取引が大幅に遅延する可能性があります。これにより、多大なコストと機会損失が発生します。

多額の課徴金・罰金のリスク
必要な届出を怠ったり、違反行為を行ったりした場合、刑事罰の対象となる可能性があります。

事業計画への影響
承認条件として事業の一部売却(コミットメント)が求められるなど、当初のM&A・事業提携の目的や事業計画が、大きく変更されることがあります。

レピュテーションの毀損
独禁法違反が公になることで、企業のブランドイメージや社会的信用が失墜し、顧客や取引先からの信頼を失う可能性があります。
これらのリスクを回避し、M&Aや事業提携を成功に導くためには、初期段階から独占禁止法の専門家による適切なリスク評価と対応が不可欠です。

M&A・事業提携時の独禁法リスク対応支援サービス

M&Aや事業提携における独占禁止法リスクを未然に防ぎ、スムーズな取引実現をサポートします。

初期段階でのリスク評価と戦略立案
M&Aや事業提携の構想段階から、取引が独占禁止法上の企業結合規制(届出義務の有無、承認条件の可能性)に該当するかを詳細に分析します。市場シェア、競合状況、代替品の有無などを考慮し、公取委による審査の厳しさや予想される課題を評価します。これにより、最適な取引スキームや独禁法対応戦略を早期に立案します。

公取委への届出・申請サポート
企業結合規制に該当する場合、公取委への届出や事前相談が必要となります。当事務所は、必要な情報の収集、届出書類(合併、株式取得、共同新設分割など)の作成、公取委との事前相談や本届出の手続きを代行します。公取委からの質問や照会にも的確に対応し、迅速かつ円滑な審査進行を支援します。特に、コミットメント(独禁法上の問題を解消するための約束)が必要となるケースでは、その内容の策定から交渉まで全面的にサポートします。

デューデリジェンスにおける独禁法リスク調査
M&Aの実施に先立ち、対象会社に潜在する独占禁止法上のリスク(過去のカルテル関与、不公正な取引方法の有無など)をデューデリジェンス(詳細調査)を通じて徹底的に洗い出します。これにより、M&A後の法務リスクを正確に評価し、取引価格への反映や契約条件でのリスクヘッジに貢献します。

事業提携契約のリーガルチェック
共同研究開発、共同販売、合弁会社の設立などの事業提携契約について、独占禁止法上の不当な取引制限や不公正な取引方法に該当しないかを厳しくチェックします。将来的な紛争リスクや公取委からの指摘リスクを排除し、健全な事業提携を支援します。

弁護士に依頼するメリット

M&A・事業提携における独禁法リスク対応で、弁護士に依頼することで、以下のような大きなメリットを貴社にもたらします。

専門家がリスクを早期に特定し、適切な手続きを代行することで、取引の中止や遅延リスクを最小限に抑え、円滑な取引の実現を支援します。

見過ごされがちな独禁法上の潜在的なリスクを事前に洗い出し、適切な対策を講じることで、将来的な法的紛争や制裁のリスクを回避します。

公取委との交渉やコミットメントの策定において、貴社の事業目的を最大限に尊重し、事業継続性を確保するための最適な条件を引き出すよう尽力します。

独禁法遵守の姿勢は、企業としての信頼性を高め、ブランドを保護することでステークホルダーからの評価を向上させます。

© 弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ